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​ご挨拶

信州大学理学部の分析化学研究室は 60年以上の歴史を持ち,主に電気分析化学を基盤に、基礎から応用まで幅広い研究を展開しています。 電気分析化学は、かつてポーラログラフィーを中心に発展した古典的手法として知られていますが、近年では界面化学や分光的手法、ナノ材料科学との融合により、新たな領域の開拓が進んでいます。 新しいチャレンジとして、炭素粉末電極や液体電極を用いる電気化学測定法の開発が行われ、電解質溶液系の界面における電位差が物質の反応性や動的挙動に与える影響を分子スケールで解明しています。これにより、界面現象の理論的基盤を深化させ、エネルギー変換、触媒反応、生体機能の解析に新しい知見を提供しています。また、これらの研究は、従来の理論の進化に貢献すると同時に、水銀を使わない新たなポーラログラフィーの開発を可能にしています。 応用研究の分野では、ナノ材料を活用した革新的なセンシングデバイスの開発にも力を入れています。ナノ粒子や分子インプリントといった材料の特性を活かし、違法薬物や生体分子の高感度検出を可能にするセンサー技術の開発に取り組んでいます。さらに、電気化学発光(ECL)と分光的手法を組み合わせることにより、さらなる性能向上を実現しています。 分析化学研究室では、こうした研究活動と並行して、日常的な学びの場をとても大切にしています。週に一度行われる輪読会では、最新の研究論文を丁寧に読み解き、議論を通じて知識を深めています。また、リサーチセミナーでは、各自の研究進捗を共有し、研究室メンバー同士が互いに批判し合うことで、新たな視点を得る機会が提供されて科学者としてのスキルと洞察力を磨いています。 このホームページを通じて、私たちの研究活動、日常の様子、そして挑戦する姿をご覧いただき、分析化学の魅力と可能性を感じていただければ幸いです。 理学部化学コース分析化学研究室 教授 金 継業

​信州大学理学部分析研の歴史

当研究室は信州大学文理学部化学教室にあった分析化学研究室が母体となっています。 1966年、文理学部が改組されて理学部が発足し、化学科(現・理学科化学コース)の中の一研究室となりました。以下、歴代の先生方について筆者(巽)が存じ上げていることを書き連ね、当研究室の略史とさせていただきます。 初代の教授は小松寿美雄先生です。筆者は唯一この先生とかかわったことがありませんので、後日ご年配の先生方に伺って加筆させていただきます。 二人目の教授は伊豆津公佑先生です。名著「非水溶液の電気化学」の著者であり、IUPACの委員も務められるなど、日本の電気分析化学の第一人者であられました。日本分析化学会の会長も務められました。一貫して非水溶液での電気化学測定に取り組まれ、とくに液間電位差についてのたいへん有名なご研究があります。物質循環学科(現・理学科物質循環学コース)の設立にもご尽力されました。 三人目の教授は野村俊明先生です。水晶発振子を溶液中での測定に適用した先駆者として著名な先生です。本学にご着任される前、長野県の工業試験場に勤務されたご経験から、実験での測容器具の使い方はたいへん丁寧にご指導されたと伺っています。今の学生たちも「ぶんせき」2012年8月号467ページの記事をぜひ読んでください。本学ご退職後は四賀村の村議会議員も務められました。 (1995年の教養部廃止にともない、梅本喜三郎先生が当研究室に所属されたと伺っておりますが、当時の詳しい状況を存じ上げません。後日加筆させていただきます。) 五人目の教授は中村俊夫先生です。伊豆津先生のお弟子さんであり、伊豆津研で培った非水溶液での電気化学測定のご経験をベースにしつつ、それをさらに発展させて、有機溶媒中での酵素バイオセンサーの応答などのご研究に取り組まれました。諏訪大社下社春宮の氏子として、有名な御柱祭にも携わっておられます。 六人目の教授は樋上照男先生です。レーザー光で電極表面を剥離しながら電気化学測定するレーザーアブレーションボルタンメトリーや、レーザーパルスにより試験界面の温度を周期的に変えながら電気化学測定する温度変調ボルタンメトリーなど、光刺激を用いた各種方法に取り組まれました。本学ご退職後も、大阪大学と共同研究を続けられるなど、ご多忙な日々を送っておられます。 七人目の教授は金継業先生、八人目の教授は筆者です。准教授の髙橋橋史樹先生と3人で力を合わせて、現在の分析化学研究室を運営しております。現役ですので、研究など活動の詳細は本ウェブサイト内の各ページをご覧ください。 理学部化学コース分析化学研究室 教授 巽 広輔
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